人類最後のマスターとして、フラットに軽快に、だけれど内心では怒りや怯えを隠しながらも明日を取り戻すために戦う主人公。
それが、私にとっての藤丸立香です。
前提として男性の藤丸立香について今回は語ります。私は男性の藤丸立香でしかプレイしていないため、女性にするとどういった印象を受けるのかわからないためです。
ゲームにおいてはビジュアルと選択肢しかない、投影型主人公のはずだというのに、過酷な状況のためか、それとも「Fate」という作品のためか、一度も自身を投影したことがない主人公です。
藤丸立香の感情や人柄は周囲のサーヴァントや人達が丁寧に語ってくれるために想像もつきますし、同調もできますが、私を藤丸立香に重ねたことは一度もありません。できるものですか。
サーヴァントに囲まれてきゃっきゃうふふといちゃついたり心を通わせるというのにも、憧れの気持ちを抱けないのです。強いて言えば、天草君に呆れながら世話を焼かれたいくらいです。でも、その感情も自分が世話を焼かれるのではなく藤丸立香にしてもらいたいという複雑さ。
それでも、投影はできなくとも、藤丸立香というキャラクターは好きです。その言葉は素直に記すことができます。
藤丸立香は衛宮士郎や遠野志貴、静希草十郎と異なり、特殊な点として挙げるのならばマスター適性が抜群にあっただけの、青年でいてもらいたいなあとは思います。「奏章II イド」が実際の過去に近しいものであるほど、現代日本に適した環境で育った青年で「あった」という。
「あった」と書いたのは、何かがないとカルデアなどという場所に来るはずがないという思いも捨てきれないためです。両親がいるのならば止めてもらいたく、教師や友人等がいるのでしたら疑ってもらいたかった。
それほど、藤丸立香には「柔軟な倫理観」と「フラットな軽さ」を持っていてもらいたいのです。正義や欲望、衝動や規律に縛られているのではなくて、自身の感覚でこれまでの、またこれからの戦いを終わらせてもらいたい。
そして、叶うのならば、第一部を終わらせた時に見た青い空を、今度は大地を踏みしめながら見上げて、サーヴァントたちと綺麗にお別れしてもらいたいです。
大切な仲間であっても、サーヴァントたちとはずっと一緒にはいられないでしょう。ホームズとも、エドモンとも別れました。ダ・ヴィンチちゃんともきっと別れる。
ただ、その時にゴルドルフさんやムニエルさん、そしてマシュには側にいてもらいたいなあと。
藤丸立香には、人間の世界に戻ってもらいたい。そう願いながら、日々マスターをしています。
藤丸立香の印象は、男性だと押しに弱いように見えるけれどそれは柔軟性であって、実はとっても頑固なお人よし。というのがあります。
選択肢とか地の文の語りが男性寄りな印象は拭えなくて、だからこそ女性の藤丸立香になると、男前補正がつくのではないかしらと。
そういった男性の藤丸立香における好きなカップリングは、やっぱり、マシュなのです。最初から手を繋いで、ずっとずっと共に歩いてきました。
新しい仲間が増えても嫉妬することなく、拒絶することなく迎えてくれているマシュには毎回感謝しています。それは、マシュという存在が藤丸立香にとって、直視してしまった悪意の解釈を善意の盾で和らげてくれたり、曲げてくれているところもあるからだろうかと。
当カルデアで藤丸立香と一番絆の深いサーヴァントはカルナさんですけれども、やっぱり特別な場所にいるのは、マシュなのです。
他に藤丸立香との関係で好きなサーヴァントは基本的に『Fate/Grand Order』が初出となるサーヴァントが多いですね。例として、バレンタインイベントでもらって嬉しかった、心に残っているプレゼントやお返しは、なぜかオデュッセウスさんだったりします。木馬からの風景は壮観だろうなあと。
マシュの次に来たサーヴァントもアレキサンダー君ですし、ライダーと縁のあるカルデアなのが当カルデアです。
今年には終章を迎える『Fate/Grand Order』です。
藤丸立香の旅が終わりを迎えるかは不明なまま、けれども二度目の区切りを迎えるのは確かでしょう。
彼の旅に福音が鳴り響くことを祈らずにはいられません。