千年かけて在り続けて。 散った命に執着を続ける。 最も美しいと呼ばれる、天下五剣が一振り。「そんな三日月宗近をよく口説き落とせましたね」 言われた小狐丸は、はて、と言いたげな様子で首を傾げた。「確かに。三日月は長命で、美しく、なにか特別な力を持っているようですが」「ですが?」「私にとっては他の刀と変わりません。一点を除けば」 その一点は何かを聞いてみる。 小狐丸はにこりと笑顔になる。「あれは、私に恋した刀です」 口説いたのではなく、口説かれたのだとのたまった。 2024.5.5(Sun) 19:00:40 こぎみか,掌小説
散った命に執着を続ける。
最も美しいと呼ばれる、天下五剣が一振り。
「そんな三日月宗近をよく口説き落とせましたね」
言われた小狐丸は、はて、と言いたげな様子で首を傾げた。
「確かに。三日月は長命で、美しく、なにか特別な力を持っているようですが」
「ですが?」
「私にとっては他の刀と変わりません。一点を除けば」
その一点は何かを聞いてみる。
小狐丸はにこりと笑顔になる。
「あれは、私に恋した刀です」
口説いたのではなく、口説かれたのだとのたまった。